大阪のヨガスタジオ、繁忙期と閑散期の波に苦しむ——定期請求+キャッシュフロー予測で乗り切った話

InvoiceFlow編集部 — 2026年5月30日公開 — 読了約10分

大阪市西区、堀江のおしゃれな通りの一角。森田あやさんが共同経営するヨガスタジオは、白を基調とした明るい空間で、朝のクラスは出勤前のOLや在宅ワーカーで賑わう。開業4年目。インスタグラムのフォロワーも増え、地域では人気のスタジオに成長した。

だが、人気と経営の安定は、別の話だった。森田さんを毎年悩ませていたのは、収入の激しい波だった。

「春と秋はクラスが満員。でも夏と冬になると、お客さんがガクッと減る。同じスタジオなのに、月によって入ってくるお金が倍も違うんです」

2つの業務 × 3つの会員形態の複雑さ

森田さんのスタジオは、二つの業務を提供していた。

そして料金には、三つの会員形態があった。

2業務×3会員形態の組み合わせで、収入の構造はかなり複雑だった。そして問題は、これらの収入が時期によって大きく変動することにあった。

繁忙期と閑散期、収入が倍違う

ヨガスタジオには、季節のリズムがある。

森田さんの試算では、繁忙月と閑散月で、月間収入は約2倍の開きがあった。繁忙期に入ってくるお金で気が大きくなり、閑散期に資金が足りなくなって慌てる——この繰り返しだった。

キャッシュフローが読めないストレス

最大の問題は、キャッシュフローが読めないことだった。家賃、講師への報酬、光熱費は毎月ほぼ一定で出ていく。なのに収入は乱高下する。「来月、講師への支払いは大丈夫だろうか」という不安が、常に頭の片隅にあった。

とくに年会員の前払いは、入金時期がキャッシュフローを大きく歪めた。一度にまとまったお金が入るので、その月は潤沢に見える。だがそのお金は、本来一年分のサービスに対する前受けだ。それを「今月の余裕」と勘違いして使ってしまうと、後で苦しくなる。

「数字の管理が苦手で、通帳の残高だけ見て一喜一憂していました。これでは経営とは言えないですよね」

転機:収入を「予測できるもの」に変える

森田さんが解決の糸口を見つけたのは、共同経営者の提案だった。「収入を、入ってくる前から見えるようにできないかな。サブスクの会社みたいに」

二人はAndroidスマホでInvoiceFlowを導入し、まず収入の構造を整理することから始めた。

月会員を定期請求で固定収入化

まず、月会員を定期請求で管理した。会員ごとに毎月の請求を自動生成することで、「来月、月会員から確実に入ってくる金額」が事前にわかるようになった。これがキャッシュフローの土台、つまり毎月読める固定収入の部分になった。

回数券と年会員を顧客プロフィールで追跡

回数券は顧客プロフィールで消化を追跡。残り回数を正確に把握することで、いつ追加購入が見込めるかも読めるようになった。年会員は、入金が前受けであることを意識し、月割りで「実質的な今月の収入」として捉える運用にした。一度に入った年会費を「今月の余裕」と勘違いしなくなった。

2業務を複数事業プロフィールで分ける

グループレッスンとプライベートレッスンは、複数事業プロフィールで分けて管理した。単価も利益率も違う二つの業務を別々に把握することで、「プライベートの方が利益率が高い」「閑散期はプライベートの比率を上げると収入が安定する」といった戦略が見えてきた。

キャッシュフローを予測する

そして核心が、キャッシュフローの予測だった。定期請求による固定収入、回数券の消化予測、年会員の月割り——これらを組み合わせることで、森田さんは数か月先の収入をある程度見通せるようになった。発行済み・予定の請求と、過去の季節パターンを踏まえれば、「今年の夏の閑散期は、月会員の固定収入でここまでは確保できる」という見積もりが立つ。

「閑散期が来るのは毎年わかっているんです。問題は、それに備えていなかったこと。予測できれば、繁忙期に入ったお金を取っておける。当たり前のことなんですけど、それができていなかった」

結果:閑散期も慌てなくなった

収入を予測可能にしてから1年。森田さんのスタジオの経営は安定した。

とくに大きかったのが、心理的な変化だった。「通帳の残高で一喜一憂する経営」から、「数か月先を見て手を打つ経営」に変わった。森田さんは閑散期に向けて、繁忙期のうちに資金を確保し、夏には早朝クラスやオンラインレッスンといった閑散期向けの施策を計画的に投入できるようになった。

「『来月大丈夫かな』という漠然とした不安が消えただけで、こんなにラクになるとは思いませんでした。ヨガを教えることに、本当の意味で集中できています」

会員制・季節変動のあるビジネスの方へ

森田さんのように、会員制で、かつ収入に季節変動があるビジネスは多い。フィットネス、習い事、観光業、季節商材を扱う店——共通する課題は多い。彼女の経験から、ポイントをまとめる。

1. 固定収入を作り、可視化する

月会員のような定期収入を定期請求で固定化し、「最低限読める収入」の土台を作る。これがキャッシュフロー予測の起点になる。

2. 前払い収入を「前受け」として扱う

年会費のような前払いは、一度に入っても今月の余裕ではない。月割りで捉え、使いすぎを防ぐ。

3. 季節の波を前提に、繁忙期に備える

閑散期が来るのは毎年わかっている。繁忙期の余剰を計画的に取っておくだけで、資金繰りは安定する。

4. 数か月先を予測して手を打つ

通帳の残高だけ見るのは経営ではない。発行済み・予定の請求と過去のパターンから、先を見て準備する。

使ってみる

InvoiceFlowはGoogle Playから無料でダウンロードできる。月会員の定期請求、回数券の消化追跡(顧客プロフィール)、複数事業プロフィール(グループとプライベートの分離)、発行・予定の請求に基づく収入の見通し、PDF書き出しは、サブスクなしで使える。オフラインでも動くので、スタジオの受付で会員登録や記録ができる。バックアップ/復元で、機種変更時も会員データを安全に引き継げる。

森田あやさんは今、2号店の出店を検討している。「キャッシュフローが読めるようになって、初めて『次の投資』を考えられるようになりました。波があっても、見えていれば怖くない。それが一番の収穫です」